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3.8 シリンダライナ

シリンダライナの上部は、燃焼温度の上昇や燃焼最高圧力の上昇による応力の増大が想定される。
これに対応するためには、通常であれば肉厚を増加する対策をとる。この場合、重量の増加および寸法の拡大となり、エンジンが大きく、重くなることから本研究の目的に反する。
また、材質をより高強度のものに変更することで対応することも考えられるが、耐焼付性など信頼性の面で問題があるものと考えられる。
このため、次のタイプについて検討を行った。

 

a)260mm試験エンジン
ボアクーリング
シリンダライナの温度は、燃焼室を形成するライナ上部が最も高くなる。この部分の熱負荷の増大に対応するため、細い水路を設け、冷却水を流すことにより温度を下げるボアクーリングを採用した。

 

b)320mm試験エンジン
バイメタルライナ
燃焼最高圧力上昇および軽量化対策として材料面の検討の結果から、従来の片状黒鉛鋳鉄(FC)一体品に対し、ライナ内周面側を従来と同じ片状黒鉛鋳鉄のままとしライナ外周面側をより高強度の球状黒鉛鋳鉄(FCD)を用いて薄肉化したバイメタルライナを製作した。(図73)
製作にあたっては、片状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の境界層の状態が、最も問題になるが、遠心鋳造法により、適切な条件(材質変更時に適切なフラックスの使用や金型温度の管理など)を選定することにより、対応可能なことを確認した。(図74)
完成したライナの確性試験においても、異常な層は見られず、問題ないことを確認したため、試験エンジンに組込んだ。
エンジン試験後のしゅう動面の状況は、従来のライナと同等であり、問題ないことを確認した。
バイメタル化により、重量を218kgから195kgに、約10%(23kg)軽量化することができた。

 

 

 

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